【完】お隣さんは最凶クール悪魔!?
『…は?』
私の言葉に、不機嫌だった三崎くんの表情が、段々とイライラへと変化していくのが、手に取るように分かる。
『そんなの知らねーよ。
一目惚れとかそういうの、うざったいんだよね』
『う、うざ……っ?』
衝撃発言に思わず絶句する私に、
『あと、』
そう言って、三崎くんは見たこともないような悪魔な微笑みを浮かべた。
そして、綺麗な唇で涼しげな声を奏でる。
『くだらない説教で、俺の時間を浪費しないでくれる?
俺、あんたみたいな暑っ苦しいやつ、大っ嫌いなんだよね』
『な、ななっ……?』
目を見開き唖然とする私を気にすることもなく、三崎くんはこちらに背を向け歩いていく。
それまではただ呆然と彼の後ろ姿を見つめていたけど、その姿が遠ざかっていくにつれ、怒りがまたふつふつと沸いてきた。
な、な、なんなの、あいつっ!!!
どこが王子よ!?
あんなの、庶民をいたぶりつける悪魔じゃないっ!
─── かく言う訳で、その日から私の中で三崎綾世は悪魔へと変貌を遂げた。