【完】お隣さんは最凶クール悪魔!?


「私がどれだけ頑張ってもダメ?」




不意に、双葉の存在が脳裏に浮かんだ。




何が嬉しいんだか、ニコーッと俺に向ける笑顔。




尻尾をブンブン振って、「綾世ーっ!」と俺の名前を呼ぶ声。




どうしようもないほどバカで、

ウザいくらい泣き虫で、

呆れるほどアホで、

救いようのないドジで、

笑えるくらいに単純で、

そのくせ変に頑固で、




そんなあいつが、何より大切になってた。




「ごめん、俺の気持ちは揺れないよ。

今の俺にとって、双葉がすべてだから」




こんなこと、本人の前じゃ絶対言ってやんねーけど。




これが俺の本心だから。




すると、美桜香は俺の返事を受け止めたようにこくこくと頷いた。




「そっか、そうよね。

綾くんの双葉ちゃんに対する目を見て、本当は分かってたわ。

私の完敗」




泣きそうで、でもどこかスッキリしたような顔をしている美桜香。




こんな風に話すのは、もう何年ぶりかな。


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