【完】お隣さんは最凶クール悪魔!?
お、お、おんぶなんて初めてされた…!!
そのふわふわした感覚に、妙に緊張してきちゃって。
「大丈夫っ? 私重くないっ?
辛くなったら、いつでも言ってね!?」
と、綾世の後頭部に向かって声を上げていると
「うるさい」
と、語尾に怒りマークをつけた、不機嫌な声が返ってくる。
「あんたは、黙っておぶられてりゃいーんだよ」
言い方はぶっきらぼうだけど、なんだかじーんと心に沁みるような言葉。
私は綾世の言葉に従うように口をつぐみ、背中に片側の頬をくっつけた。
憎まれ口ばっかり叩くけど、なんだかんだ言って、優しいとこもあるんだなぁ、綾世って。
ちくちくな棘みたいに不器用だから、綾世の優しさは分かりづらいんだ。