視線の先にはあなたが
エントランスで外から帰ってきた
上原社長が目にした。
顔面蒼白で、血の気のない社員が
雨の中に吸い込まれて行くのを
まさか、いつもしない
自ら女性を追いかける事を
しかし、これが運命だったんだと
気づくのはまだ先の事を・・・・
「君・・・風邪ひくぞ、これをつかいたまえ」と傘を差し出した
「でも・・・・濡れますよ、私ならいいんです、心配してくれるって思っていた方にフラれてしまいました、笑ってください。こんな惨めな私を笑って・・・・」
「傘は、会社の受付にでも」
走って行ってしまいました。
誰なんだろ?
でも傘は使わない。
濡れた方が今はいい