Addictive Gummi

 二人でパーティー会場を出て、デパートへ行った。

 専門店でブラウスを買ってもらった。
 ついでだからと色々試着させられて、あさひ部長が一番気に入ったワンピースをプレゼントしてくれた。

 そのプレゼントの仕方がサプライズだった。
 買わずにデパートを出て、その後に行ったレストランで渡されたのだ。

 食後の化粧直しに席を立ち、戻ってくると用意されていた。


「はい、これ。食事に付き合ってくれたお礼」

「えっ」

 目が点になった。
 買ってもらったブラウスが入った袋とは別の、同じ袋だ。

 いつの間に買い物したの?
 さっきまでは持っていなかったはず。

「あのワンピース、すごく似合ってたから。いずみちゃんが着てるところ、もう一回見たいなあと思って」

 どうしていいのか分からない。
 申し訳なさと嬉しい気持ちが織り交ざって、困惑する。

 あさひ部長は何から何までスマートで、格好良かった。

 レディースの専門店でも、高級レストランでも、さっと上手にエスコートしてくれる。
 後で思えば、相当デート慣れしていたんだと気付けたけれど、そのときの私はいっぱいいっぱいだった。

 あさひ部長に合わせるのに必死だった。
 ダサい女と思われたくなくて背伸びした。

 大学生だと嘘をついたことも後ろめたく、自分があさひ部長にどう思われるかということだけに、頭がいっぱいだった。


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