Addictive Gummi



「どうする? 上で少し飲む? ここの上から眺める夜景、すごい綺麗だよ」

 レストランを出て、もうお別れかと残念に思ったとき、優しい顔でそう誘われた。

 時間も遅いし、お酒を飲むのは危ないかなとは思ったけれど。
 自分一人では絶対に来れない、大きなホテルの最上階のラウンジバーからの夜景に、興味は湧いた。

 バーでお酒を飲むくらい、まあ大丈夫だろう。

 そこで口説かれるかもしれないけれど、それを期待している自分もいる。


「はい、じゃあ……ちょっとだけ」

 はにかんだ返事を返し、あさひ部長とエレベーターに乗った。

 休日の前夜ならもっと混んでいるだろうけれど、日曜日のせいか人気は少ない。


 エレベーターの止まった階は、格調高い雰囲気のフロアだった。
 降りてすぐにバーがあるわけではないらしい。

 慣れた足取りで歩いていくあさひ部長の後に続いた。

 え?

 あさひ部長が足を止めたのは、ホテルの宿泊客用の部屋の前だった。
 取り出したカードキーでドアを開けた。

 びっくりした。
 バーじゃなくて部屋飲み? 鍵はいつの間に手に入れたのだろう。



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