Addictive Gummi


 その後はもうお決まりのコースだった。

 酔いが回ってソファーで休んでいたら、隣に来たあさひ部長にキスをされた。

 抱きかかえられ寝室へ移動して、男女の関係を持った。

 決して無理やりではなかったし、「大丈夫?」「気持ちいい?」と訊かれては、頷くたび優しいキスをくれた。

 最高潮に幸せだと思った。


 最悪だったのは、翌日の朝だ。

 目覚めたら、あさひ部長の姿は無かった。

 代わりにテーブルの上に書置きがあった。

『ごめん、仕事で急用。もう精算は済んでるから』


 え――――それだけ?

 一夜限りの関係にされるかもしれないという不安はあった。

 だけど、また次も会える雰囲気を匂わせていたから、別れ際に連絡先交換ができるものと思っていた。

 もし連絡先を聞かれなければ、勇気を出して自分から聞こうと思っていた。


 なのに、朝になったら煙のように消えていたのだ。

 メモ書きの隣にお菓子が置いてあった。

 見慣れた、うちの会社の商品だった。


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