Addictive Gummi




「そう言うゆうひ工場長も、アディグミ食べないですよね」

 ふと思った。

 社員なら常に五種類くらいは常備しているはずのアディグミを、ゆうひ工場長も持っていない気がする。
 この一週間、一緒に暮らしているけれど、見ていない。


「うん、そうなんだ。だから浅沼さんとは、気が合いそうな気がする」

ぱたりとノートパソコンを閉じて、ゆうひ工場長は吐き捨てるように言った。

「今の俺は、自信持ってうちの商品を良いとは言えない。……悔しいなあ」


「――どういう意味ですか?」

「まあ、負け犬の遠吠えとでも思っといて」

 気を取り直したように微笑むと、ゆうひ工場長は私をまじまじと見つめた。

「浅沼さんは、マツエクとかしないの?」

「え?」

「社内でしてる女の子、多いでしょ。ネイルとかも、すごい凝ったデザインの。商品開発や製造ラインに就いてたら無理だろうけど。総務の松永部長って、厳しいの?」

「いえ、特に」

 突然マツエクの話になって、眉をひそめた。

 これって遠まわしに……いや、わりと直球に、もっと女らしくしろって言われてる?


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