Addictive Gummi
奥歯に物が挟まったような言い方をするゆうひ工場長にもやっとする。
「症状のチェックって何の症状ですか? ホテルでしなくちゃいけないんですか? 高島さんが会社辞めたことに、ゆうひ工場長が関係しているんですね? だったらつべこべ言ってないで、責任取るべきじゃないですか」
捲くし立てる私を前にして、ゆうひ工場長は元気を失った。
「……うん、ごめん……そうなんだけど」
だけど?
言葉に詰まったゆうひ部長は、困ったように眉を下げた。
「どうしたらいいのか分かんなくて……。俺には荷が重いのかもしれない」
「荷が重いって……」
「彼女が求めるものを与えられるのは、俺じゃない。旭日だ」
あさひ部長の名前に、胸がざわつく。
「どういう意味ですか。あのSDカードと、何か関係があるんですか?」
あさひ部長の目を誤魔化して、ゆうひ工場長が持ち出したSDカードに思い当たる。
あの後すぐにゆうひ工場長は左遷され、家出した。兄弟間で揉めているのは明白だ。
「知りたい? 約束してくれたら教えてもいいよ」
「約束?」
「俺の味方につくって。裏切らないって。旭日と親父を敵に回すけど、それでもいいのなら」