Addictive Gummi


 高島さんが会社を辞めた原因に、社長も関与しているんじゃないかという疑惑は、社長と話して確信に変わった。

 私が「広報課にいた」とだけ言った高島さんのことを、社長は「元社員」だと言った。
 退職したことを知っているのだ。

 わざと地雷を踏んでみて、社長の反応を見たけれど、やっぱり『何か隠している』ということしか分からなかった。失意のヒロインを演じきって、舞台を降りた。


 その余波がゆうひ工場長に及んだことを知ったのは、翌日だ。

 社内メールで、あさひ部長から連絡が来た。


 仕事が終わり、指定されたカフェへ行くと、半個室の予約席であさひ部長が待っていた。

「お疲れ様。呼び出して悪いね」

「お疲れ様です」

 向かい合って着席し、あさひ部長に勧められて飲み物を注文した。

 いつから待っていたのか、あさひ部長の飲みかけのコーヒーはもう底を尽きそうだ。
 二杯目のコーヒーを注文し、一息ついたタイミングであさひ部長が切り出した。

「親父に余計なことを言ってくれたみたいだね。勇日のことで。お陰でアイツ、家に連れ戻されて軟禁されてるよ」

「えっ!?」


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