Addictive Gummi
取り乱した様子の高島さんをなだめ、目に入った近くのカラオケ店へと入った。
落ち着かなくちゃと自分にも言い聞かせる。
何か重大な秘密の鍵を握っている高島さんが、自ら接触しに来てくれたのだ。全てを聞くチャンスだ。
幸いカラオケ店は空いていて、すぐに部屋に案内された。
ワンドリンクを注文し、店員が出て行くのを待った。
「で、高島さんが欲しがっている『あれ』って?」
「プレミアム版アディグミです」
「えっ?」
そんなものあったっけ?
確かに最近、昔ながらの定番お菓子の『プレミアム版』を出すことがブームになっている。
その流れに乗って、アディグミのプレミアム版を発売というのも良い話だとは思うけれど。
「まだ出てないよね。アディグミのプレミアム版……、ゆうひ工場長が開発を?」
『勇日が勝手にしていたことだ』とぽろり漏らした、あさひ部長の言葉に思い当たる。
「作ったのは杉山部長……。試作品の段階で問題が発覚して、発売延期になったから……」
泣きそうな顔をして、高島さんは俯いた。
「でも、ないと困る私のために、ゆうひ部長が作ってくれていたんです。段々と弱いものにして、やめられるように。悪いからって急にはやめられないんです、どかんと発作が来るから」