Addictive Gummi


「悪いものって、そのプレミアム版アディグミが……? そんなに危ないもの?」

 禁断症状だの、急にはやめられないだのと聞く限り、まるで麻薬のようじゃないか。

 うちの看板商品のアディグミが?
 そんなに危険な物だなんて、嘘でしょ?


「プレミアム版は、普通のアディグミのヤミツキ成分を濃くしたもので、中毒性が強いんです。それでもドカ食いしなければ大丈夫だったのかもしれません。私は二日で三百個、試作品を食べてしまったんで」

「二日で三百個!? どうしてそんなに……」

「一個食べると、次々食べたくなって。モニタープレゼントするはずの試作品を、全部食べてしまいました」

 ああ、そうか。
 高島さんは営業部広報課のなかで、プレゼント企画の担当だった。SNSの自社アカウントの『中の人』として、日常的な呟きをしたり、商品の感想をリサーチして拡散したりしていた。

 モニタープレゼントするはずだった、プレミアム版アディグミを、全部自分が食べてしまったのか。

 あさひ部長が言っていた『高島さんが横領』というのは、きっとそのことだ。



< 47 / 48 >

この作品をシェア

pagetop