Addictive Gummi
唖然とした。
この人、めっちゃ嘘つきだ。
どうしても本当のことは話せないらしい。
「……それは……マニアックなご趣味ですね」
カードに入っていた画像は、おじさんだった。無修正だけどポルノではなかった。白衣を着ていた。
今より若いときの社長も一緒に写っていた。
じっくりと見てはいないけれど、手書きのメモを撮影したものや、商品の画像などもあった。
勝手に見て悪いとは思ったけれど、唾液まみれのカードをウェットティッシュで拭いてから乾かしたあと、データが駄目になっていないかどうか心配で、さっとチェックしてきた。
どうしよう。見た内容を問い詰めたところで、上手くかわされて終わりだろう。
「分かりました、黙ってカードはお返しします。でもさっき部長が仰った条件、つけてくださいますか?」
「条件……?」
「口封じのために、私と結婚してくださるって言いましたよね?」
ただの社員では踏み込めない領域なら、『婚約者』になればいいんじゃないか?
そう思った。
怪しいゆうひ部長の動向を探って、何かを掴めば、あさひ部長に告げ口できる。