オフィスのくすり
そんなことを言い合っているうちに、現れたFAXの女は、いよいよ巨大化していた。
「おい。
此処でいつも残業してるのは、お前だけか?」
と井上は訊いてくる。
「普段はもうちょっと人が居るわよ」
ふうん、と呟いたとあとで、
「じゃあ、このFAX、やはり送り間違えてるな」
と断言した。
「じゃあ、本人は、誰か違う相手に向かって送ってるつもりだって言うの?」
「まあ、恐らく。
何か恨みのある相手にだな」
「まあ、好意を持ってる相手には送らないわね、こんなもの」
と井上の手にあるそれらを覗き込むために近づくと、和泉が何故か腕をつかんでくる。
「なに?」
と振り返ると、
「いえ、別に……」
と彼は言葉を濁し、手を離した。
ほれ、と井上はこちらにFAXを見せながら、
「こんな情緒もデリカシーもない女相手じゃ疲れるだろうに。
何がいいんだ?」
と言う。
和泉に訊いたようだ。
「おい。
此処でいつも残業してるのは、お前だけか?」
と井上は訊いてくる。
「普段はもうちょっと人が居るわよ」
ふうん、と呟いたとあとで、
「じゃあ、このFAX、やはり送り間違えてるな」
と断言した。
「じゃあ、本人は、誰か違う相手に向かって送ってるつもりだって言うの?」
「まあ、恐らく。
何か恨みのある相手にだな」
「まあ、好意を持ってる相手には送らないわね、こんなもの」
と井上の手にあるそれらを覗き込むために近づくと、和泉が何故か腕をつかんでくる。
「なに?」
と振り返ると、
「いえ、別に……」
と彼は言葉を濁し、手を離した。
ほれ、と井上はこちらにFAXを見せながら、
「こんな情緒もデリカシーもない女相手じゃ疲れるだろうに。
何がいいんだ?」
と言う。
和泉に訊いたようだ。