隣のキミに恋した場合。~幼なじみの甘い誘惑~
「上ばっか見てると転ぶぞ」
「だーいじょーぶっ」
なんて言ってる側から歩道のちょっとした段差につまずいた。
「うわっ……!」
「琴ちゃん!?」
前のめりになって転びそうになった私は、力強い腕に腰を抱かれる態勢で何とかその場に留まった。
「大丈夫?」
私の顔を覗き込んできたのが一聖。
一聖が助けてくれたんだ。
「大丈夫だよ。ありがとう、一聖」
苦笑いを顔に浮かべて言う私に真後ろから背筋が伸びるくらいの低い声が飛んでくる。
「大丈夫じゃねーし。助けたの俺なんだけど、お礼言う相手違うんじゃない?」
ゆっくりと首を後ろに回すと、呆れた顔をした一煌がため息をついていた。
「ありがと、一煌」
お礼を言った私の腰から手を放した一煌は、しばらく自分の手のひらを見つめる。
どうしたんだろうと見ていたら、
「琴ちょっと太ったんじゃない?」
「え゛っ……」
ストレートすぎるその言葉は、私の胸にグサッと刺さった。
た、確かにちょっと最近食べ過ぎかなって思ってはいたけど、そんなハッキリ言わなくても。