隣のキミに恋した場合。~幼なじみの甘い誘惑~
▽私の知らない一煌
「はぁ……」
昼放課になり教室で溜め息をつく。
「琴羽ちゃん大丈夫?」
また溜め息をつきそうになった時、真子ちゃんが心配そうに私のことを見ているのに気付く。
「へ? あ、うん全然大丈夫!」
「そう? 今日朝からずっと溜め息ついてるからちょっと心配で」
え、自分でも気づかない内にそんなに溜め息ついてた?
「本当に大丈夫。ただ昨日……一煌とちょっとね」
「一煌君とってことはあの事話したの?」
「まぁ。でも、撃沈したけどね」
苦笑混じりに言うと真子ちゃんも肩を落とす。
「ごめんね? 私が一煌君に相談してみたらなんて余計なこと言っちゃったから」
「真子ちゃんのせいじゃないよ! 私が自分で何とかしようとしなかったから。
一煌と喧嘩なんていつものことだし、真子ちゃんが気にする必要はないから」
そう、口喧嘩なんていつものこと。
なのに、今朝の一煌は顔を合わせても全然話してくれなかった。
いつもなら口喧嘩した翌日でも普通にからかってきたりするのに、そんなに昨日のこと怒ってるのかな。
一聖とのことを一番に考えたいのに……一煌の態度が気になるなんて。