隣のキミに恋した場合。~幼なじみの甘い誘惑~
「えっ、一煌もう帰ったの?」
下校時間になり一聖に一煌がいないことを聞かされる。
今日は朝から一度も一煌と話してない。
「先に帰るって言ってたけど、琴ちゃんには言ってなかったの?」
その問いに緩く首を横に振る。
「おかしいなぁ。琴ちゃんと一緒に帰らないなんて初めてじゃない?」
「え? そんなことないと思うけど」
「そうかなぁ? 俺の記憶だと今までいつも一緒に帰ってたと思うよ。
体調悪い時以外はずっと一緒だったような気がするけど。
部活帰りで待ち合わせしてなくてもいつも一緒に帰ってたんじゃない?」
そう言われてみたらそうだったかも。
それが当たり前すぎて何も思ったことなかったけど。
「一聖はよく覚えてるよね、昔のこととか」
一煌がいない帰り道。
一聖とふたりきりで本当なら物凄く嬉しいはずなのに。
「うん、覚えてるよ。だって、一煌は琴ちゃんのこと好きだしね。
あ、もちろん俺もね」
「そう、なんだ」
それは幼なじみとしてっていう意味だってことくらいもうわかってるよ。
深い意味がないってことも。