隣のキミに恋した場合。~幼なじみの甘い誘惑~
▽いい加減、俺のこと見ろよ-一煌side-
「……」
「今日何回目なの、その上の空状態」
学校帰りに寄ったカフェでつまらなそうな顔をスマホ片手に向けてくる。
「上の空なんてなってない」
「よく言うよね。俺朝からずぅぅーっと数えてたけど、今ので20回目。
一煌がそんなふうになるの初めて見るんだけど」
心配するでもなく面白がってるこいつを見てると何かムカつく。
「おまえ……ちょっとは心配できないの? だから友達いないんじゃん」
「褒めてくれてありがとう。
別に仲良い奴なんてひとりいれば十分だし」
にっこりと綺麗な笑顔を浮かべて心の底から思ってる本音を隠しもせず言うこいつは俺の幼なじみの広瀬悠馬(ひろせゆうま)。
「それにいるじゃん。最高に俺のことわかってくれてる幼なじみ君が」
「それ友達と違うだろ。おまえもうちょっと本音隠して生きた方がいいと思うけど」
「ストレスで死にそうだしそんなの。
ま、俺より先に心が傷ついてる奴が一名いるけどね」
口角を上げてニッと笑った悠馬から逃げるように口にカフェオレを運ぶ。