大好きだよ、今も。
「柚花!」


意識が遠のきかけていたわたしは、優斗くんの声で我に返った。


「ヒューヒュー、優斗くん…助けて…
喘息の発作で…ヒューヒュー、吸入器を取りに行こうとしたんだけど、ヒューヒュー、迷っちゃ…


「しゃべらなくていいから。


吸入器はどこに置いてきた?」


えっと、


「ヒューヒュー、わたしの部屋…」


「え!?柚花の部屋って寝室からここまでと逆方向だよ!?」


「え…」


「俺が取りに行くから。


抱えて連れて行けば、早いけど、横になると辛いよな…」


「…うん」


「じゃあ、ゆっくり行こう、ゆっくり吸って、吐いてー」


スーハー、スーハー


部屋に着く頃には、少しは落ち着いたものの、まだ苦しかった。


「ちょっと取ってくるから。」


「…行かないで…」


「大丈夫、すぐ戻るから。」


本当に優斗くんは1分ぐらいで戻ってきた。


「はい、吸って、吐いてー」


15分。


だいぶ落ち着いて呼吸も楽になってきた。


「ありがとう、優斗くん。」


「俺も小さい頃喘息だったから。」


「そうなんだ。」


優斗くんも前は喘息だったなんて。


「まぁ、とりあえず、もう寝よう。


それにあしたは父さんのところへ行っておこう、一応。」


「うん、わかった。」


おやすみ。
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