彼が嘘をついた


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毎年9月の第3土曜日に、取引先である佐倉食品と朝日製粉の3社で、バスケットボール大会が開催されている。
もう10年以上続いていて、各チーム20代から30代前半の男性社員が出場している。
場所は公立の体育館を1日借りて、それぞれの会社と親交を深めている。

毎年、ヒロくんが出場していたから、応援に行っていた。
そういえば、隼人くんも出場していたから、毎年、真由子と一緒に応援に行っていた。
…今年も、真由子と一緒に応援に行くだろう。
それぞれ、応援する相手は昨年とは違っても…。

ヒロくんは、中学高校とバスケ部だった。
ポジションはFWで、特に外からのシュートが得意だ。
真由子が言うには、隼人くんも小学校からバスケをやっていて、PG(ポイント・ガード)と言うポジションで、攻撃の中心になるゲームメーカーらしい。

ずっと見ていたはずなのに…隼人くんのバスケをやっている姿を思い出せない…と言うことは、それだけヒロくんのことしか見ていなかったということだろう。

(今年はちゃんと、隼人くんのプレーを見よう!)

そう心に決めた。

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