彼が嘘をついた
スタメンの5人づつが、コート中央に列んだ。
…隼人くんもヒロくんもスタメンで出場する。

この大会は、
『5-(1)-5-(5)-5-(1)-5』
の試合時間で行われる。
メンバーチェンジはいつでも出来、他のルールは普通のバスケットと一緒だ。

TOは地元のミニバスチームがやってくれて、審判は、それぞれのチームから来ていて、うちの会社からは兄に頼まれたのだろう……和馬さんが来ていた。
和馬さんがこの試合の副審を務めるみたいだ。

ジャンプボールで試合が始まり、ボールを押さえたのは隼人くん。
ゴール前に走るヒロくんにパスが渡ると、すぐに先取点を入れた。

……試合は、完全にうちのペースで進み、前半を終了して51対10でリードしている。
続けて試合があるのを考慮してか、後半は主力の隼人くんとヒロくんをベンチに下げた。
ちなみに、うちのチームのコーチは、兄がやっている。
私は兄に頼まれ、この位置からスコアをつけていた。

「えーーーっ!
隼人と二宮くん出ないのー?
つまんなーい!」

後半スタートのメンバーを見て、真由子と一緒にいる女の子が、体育館に響き渡るくらいの大きな声で叫んだ。

驚いて、みんなが彼女を見る。
…もちろん隼人くんも。

隼人くんと目が合ったその子は、嬉しそうに彼に手を振った。
隼人くんは……苦い顔をしながらも、彼女に頷いたように見えた…




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