彼が嘘をついた
私が下のドアを開けるのと、真由子たちが出て行こうとするのが、ほぼ同時だった。

「遥、おはよう。
今日はスコア付けなんだって?
遥がバスケやってたなんて、知らなかったよ…」

真由子に声をかけられた。

「あっ、…うん。
ヒロくんがやっていたから、私もバスケ部だったの…。マネージャーだけど…」

「そっか。隼人がバスケ部だったけど、私はやらなかったよ。
あっ、隣にいる美幸は、遥と同じ理由でバスケ部のマネージャーだったよ。
ねっ、美幸」

「うん。
はじめまして、佐倉美幸(サクラ ミユキ)です。
佐倉食品で、総務をしています。
真由子と隼人と、同じ高校でした」

彼女·佐倉さんはそう言って頭を下げた。

「あっ、えっと…。
四つ葉フーズで受付をしている佐久間遥です」
私も同じように自己紹介して頭を下げた。

そこに、
「遥、遅いから心配した。コーチが待ってる」
隼人くんが来て、私の腕を掴む。
そして真由子たちを見ると、
「…真由子も美幸も、早く行って。
コーチに怒られるぞ」
優しくそう言った。

「……分かった」

「あー。
隼人は、いつも美幸には優しいよね。
より戻せばいいのに!」

「…隼人さえ良ければ、私はいつでもいいんだけどね…」

真由子と佐倉さんは、私たちに爆弾を落として出て行った。






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