彼が嘘をついた
真由子と佐倉さんの言葉に苛立ちを覚えた私は、隼人くんの手を振り切り、ベンチへと急いだ。

主力メンバーは、次の試合に向けてのアップに入っている。
隼人くんもそのまま、アップに入って行った。

それを確認した私は、
「お待たせしました」と兄に声をかけた。

「いや…。
わざわざ下に来てもらって悪いな。
さっきの試合のスコアを見せてくれ」

「はい」

「……うん。
やはり、二宮と五十嵐がチームの得点源だな」

スコアを見て、そう分析してる兄。
本当はいつも通りに話したいけど、あくまでも上司として話し掛ける。

「…そうですね」

「次は2人をフル出場させないとヤバいかも知れない」

「…そう…ですか」

そんな話をしているうちに、
「3分前です」とコールされ、選手がベンチに戻って来た。

「…この試合も、スタメンはさっきの試合と一緒だ!
五十嵐と二宮。
2人はゲームメイクを中心にオフェンスに参加して。マークを引き付け、他のメンバーをフリーにしてどんどんシュートを打たせろ。
3人は、ボールを持ってゴールを狙えそうなら、積極的にシュートを打って行け!
それから、ディフェンスはハーフマンツーで。
簡単に抜かれないようにしろ!」

「「「はい!」」」

コーチからの指示を聞き、スタメンはコートへ向かった。


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