彼が嘘をついた
試合はまた、ジャンプボールで始まる。
最初のルーズボールは、相手チームが押さえた。

「ディフェンスだ!
しっかりマークマンにつけ!」

一番年上の金子さんの指示も元、ディフェンス体制を整える。

必死にくらいつくも、先取点はとられてしまう。

切り替えて攻撃。
隼人くんとヒロくんのパス回しで、相手ゴール前までボールを運ぶ。
ゴール前。守りが中に集中する隙をついて、ヒロくんが3ポイントを決めた。

こうして試合は一進一退で進んでいく。
前半終了で31対29。かろうじてリードしている。

ハーフタイム。
TOで得点とファールの確認をして戻ると、コーチから後半の指示が入る。

「みんな、お疲れ様。
後半スタート時、二宮と五十嵐はメンバーから外す。代わりに杉島と松原が入って。
ディフェンスは前半と同じハーフマンツーで、粘り強く守れ!
オフェンスも、ゆったり時間を使って。チャンスがあったら、先取点にシュート!杉島と松原は、リバウンド頑張って!
それで3分、持ち堪えてくれ。それまで、二宮と五十嵐を休ませたい!」

後半が始まると、また隼人くんとヒロくんがコートに立たないことに、応援席からの不満の声が聞こえる。

…バスケでフル出場することがどんなにキツイか、みんなわからないんだな…


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