彼が嘘をついた
中心となる2人がいないと、相手ペースで試合が進む。
コートのメンバーはそれぞれ、オフェンスにディフェンスに頑張ってくれているのだけれど…

5点リードされたところでベンチが動く。
金子さんと井口さんを下げて、隼人くんとヒロくんをコートに戻した。
「どんどんゴールを狙って行け!」
との指示付きで…。

それでも結局、3ピリオドは5点差のまま。

最終ピリオドは、相手のキープレイヤーには2人でマークについて応戦することにした。
オフェンスは、全員が積極的にゴールを狙うこと。

この作戦が良かったのか、終了まで1分近く残して同点に追いついた。

その後はどちらも決めてがなく残り10秒。
ボールは相手がキープしている。

相手のキープレイヤーにパスが渡る……





…のを、隼人くんがカット。
ゴール前に走るヒロくんにパスを出す。
相手チームも追いかけるが追いつかず。
パスを受けたヒロくんがレイアップを決めると、試合終了の合図が―
ギリギリで、この試合も勝った。

これから1時までの約1時間半はお昼の時間。
試合開始の30分前までに片付けて出れば、コート内でお昼を食べても大丈夫。
私は一応兄に場所を伝えて、美鈴先輩と楓恋の待つ応援席に戻った。

隼人くんは…、ちゃんと私のところに来てくれるだろう……




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