彼が嘘をついた
そんなたわいない話しをしながらも、和馬さんは私の髪を切っていく。
そして、

「これくらいの長さでどう?」
和馬さんは鏡で全体を見せてくれた。
肩よりちょっと長いくらいのセミロングに揃っていた。

「…はい、大丈夫です。
ありがとうございます」

「そっか、良かった。
次はカラーリングだけど、どんな色がいいとか希望はある?」

「うーん。
あんまり明る過ぎる派手な色はイヤです。
ブラウンとか…かな?」

「遥ちゃん、カラーリングははじめてだよね。
だから、遥ちゃんに合いそうな色を、いくつか選んで見たけど…」

和馬さんはそう言うと、何種類かサンプルを持ってきてくれた。
そのうちの1つを手にとると、

「あぁ。それは"コーヒーブラウン"って言う色。
こんな感じになるよ」
仕上がり具合を見せてもらう。

「明るすぎないし、はじめてのカラーリングにはいいと思うよ。
それにしてみる?」

「はい、お願いします」

そのカラーが気に入って、すぐに決めた。

「分かった。
準備するから、少し待っててね」

和馬さんは、すぐに準備をして戻って来た。

「じゃあ、はじめるね」

そうして、私の髪に液体をつけはじめる。
はじめてのことに、仕上がりが気になりドキドキソワソワしてしまう。



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