彼が嘘をついた
週明けの月曜日。

いつものように着替えて受付に立つ。
すると…。
いつも以上に、社内の人からの視線を感じる。

(…なんだろう?
私、何かヘンなのかな?
朝のうちに、美鈴先輩や楓恋に確認すれば良かった…)

そこに、営業部の村瀬さんが通りかかり話し掛けられた。

「佐久間さん、お疲れ様。土曜日は、応援ありがとう」

「あっ、村瀬さん。
お疲れ様です。これから外回りですか?」

「そう…。
ここだけの話、佐久間部長になってから厳しくてね…。しっかり数字に繋げないと!
それより…。
噂には聞いていたけど、本当に五十嵐と付き合ってるんだね。
あの懇親会で、五十嵐が佐久間さんのことを大切にしているのが分かったよ。
朝から、2人の話題だったから大丈夫?いろいろ噂されてるんじゃない?」

「あっ……!」

村瀬さんに言われて、見られていた理由が分かると共に、恥ずかしくて顔が熱くなる。

「うちの会社、社内恋愛禁止じゃないし、気にしなくていいよ。
むしろ堂々としてなよ。
五十嵐と佐久間さん、美男美女だし、すごく似合ってると思うよ。
俺は応援してるから、頑張って!」

「あっ、はい…。…ありがとうございます」

「うん。
じゃあ、営業行ってきます」

「行ってらっしゃい。気をつけて」

こうして村瀬さんを見送った。

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