彼が嘘をついた
私はため息をついた。
…本当は、そんなお見合い自体を断りたいけど、そうもいかないだろう…
「…でな遥。
来週の土曜日の12時半に、スターホテルのラウンドに来て欲しいんだ。
髪とメイクは11時半に、
和馬にセットしてもらうように頼んである。
服は、これで新しいワンピースでも買っていいから…。
余ったら、お前のお小遣にしていい」
兄はそう言って、私に1万円札を2枚渡した。
(何よ…!
申し訳なさそうにお見合いを頼んできたくせに、全ての段取りを整えてあるんじゃない!)
私はお茶を1口飲んで、気持ちを落ち着かせる。
それから、しっかりと兄を見据えて口を開いた。
「このお見合い、決定事項なんだよね?」
「あぁ」
「断ることは、出来ないんだよね?」
「あぁ」
「…だったら、行くしかないじゃない!」
「遥…?
…本当に来てくれるのか?」
「そう言ったじゃない!
だけど、行くだけだからね。
そこでちゃんと、お付き合いしてる人がいるって言うから!
今日はもう帰るから!
叔父さん、叔母さん、ヒロくん、ごめんなさい。
さようなら」
そう言って私は、上着を来てバックを持つと実家を後にした。
後ろからヒロくんが、
「遥、待って!送って行くから」
と声をかけてくれたけど、それにも気付かなかった。
…本当は、そんなお見合い自体を断りたいけど、そうもいかないだろう…
「…でな遥。
来週の土曜日の12時半に、スターホテルのラウンドに来て欲しいんだ。
髪とメイクは11時半に、
和馬にセットしてもらうように頼んである。
服は、これで新しいワンピースでも買っていいから…。
余ったら、お前のお小遣にしていい」
兄はそう言って、私に1万円札を2枚渡した。
(何よ…!
申し訳なさそうにお見合いを頼んできたくせに、全ての段取りを整えてあるんじゃない!)
私はお茶を1口飲んで、気持ちを落ち着かせる。
それから、しっかりと兄を見据えて口を開いた。
「このお見合い、決定事項なんだよね?」
「あぁ」
「断ることは、出来ないんだよね?」
「あぁ」
「…だったら、行くしかないじゃない!」
「遥…?
…本当に来てくれるのか?」
「そう言ったじゃない!
だけど、行くだけだからね。
そこでちゃんと、お付き合いしてる人がいるって言うから!
今日はもう帰るから!
叔父さん、叔母さん、ヒロくん、ごめんなさい。
さようなら」
そう言って私は、上着を来てバックを持つと実家を後にした。
後ろからヒロくんが、
「遥、待って!送って行くから」
と声をかけてくれたけど、それにも気付かなかった。