彼が嘘をついた

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

そして、遥が出て行ったあとの佐久間家では…

「あーぁ。遥、行っちゃいましたよ。
俺、一応、隼人に連絡します」

遥に追いつけなかった大樹は、食堂に戻ってくるとすぐに携帯を取り出して、隼人へとメールを送った。

「遥ちゃん、あんなにお見合いを嫌がっていたのに、ちゃんと相手も知らせないで…、可哀相ですよ」

「そうですよ。
遥ちゃんが落ち着いたら見るように、写真と釣書だけでも渡せば良かったのに…。
当日、相手を知ったら、遥ちゃんはどう思うのか…」

孝志と洋子は、遥の味方だ。

「…いや。
どうせ渡しても、あいつは見ないですよ」

対して、兄の晃は遥のことを良く分かっている。

「隼人と連絡つきました。遥が行ったら、連絡が来ることになってます」

大樹が晃に知らせる。

「ありがとう。
…大樹はどう思う?今回のお見合い」

「俺ですか?
まぁ、何も知らされない遥が可哀相だとは思うけど…。
あとは相手の説明次第ですよね…。
遥がちゃんと話を聞いて、分かってくれたらいいんですけど…」

大樹の言葉に、全員が頷いた。

………………

それから約1時間後。
大樹の携帯に、隼人からメールが入る。

"遥がびしょ濡れになって帰って来た"と…






☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

< 152 / 198 >

この作品をシェア

pagetop