彼が嘘をついた
「よしっ!
髪、乾いたぞ!」

隼人くんはそう言ってドライヤーを切る。
そして立ち上がると、
「俺もシャワー浴びてくるから、遥はゆっくりしてて」
そのままバスルームへと入って行った。
背中に感じていた彼の温もりがなくなり、ちょっと…いや、かなり寂しく思った。

15分くらいでバスルームから出てきた彼は、そのままキッチンへと行く。
しばらくすると、マグカップを2つ持って来た。

「はい、ミルクティー。
暖まるから、これ飲んだら今日は寝よう」

「うん」

私たちは隼人くんの作ってくれたミルクティーを飲んだ。
それからハミガキをして、彼の寝室へ向かう。
…いつも、私の部屋に彼が泊まりに来るから、彼の寝室へ入るのは始めてだ。妙にドキドキする。
彼のセミダブルのベッドに、並んで横になった。

「おやすみ遥」
その言葉と共に、優しいキスが降りてきた。
そのキスだけで終わりにしようとする彼を私が引き止める。

「もっとして…」
そう言って私からキスをして、舌を絡ませた。
最初は驚いていた彼も、次第に応えてくれて、何度も角度を変えては深いキスに変わっていく。
そして、彼の手が私の身体を這っていき、そのまま愛し合った。

翌朝には、身体中に愛された跡があったけど、私からも彼の胸元と首筋にキスマークをつけた。
私は彼のもので、彼は私のものだと、証拠を残したかった。




< 155 / 198 >

この作品をシェア

pagetop