彼が嘘をついた

「気にしないでいいよ。
俺、生活が不規則だし、もし彼女がいても、すれ違いで寂しい思いをさせるだけだから。
まぁ、遥ちゃんは頑張って"恋"してよ。まだ若いんだし。
そして、イメチェンしたくなったら、いつでも連絡して」

和馬さんがそう言ったとき、車がマンションの前に着いた。

「はい、ありがとうございます」
挨拶をして、車から降りる。

「じゃあ、またね」

そのまま和馬さんの車は行ってしまった。



☆　★　☆　★　☆　★

翌日の日曜日は、箪笥の衣更えや部屋の掃除をして過ごした。

午後4時、そろそろ夕食の買い物に行こうとしたら、隣のヒロくんが私の部屋に来た。

「遥、買い物行く？俺も一緒に行くよ。
ってか、髪型を変えたんだ。いいんじゃない？それ、隼人の好み？」

すぐに髪型の変化に気づいてくれた。
好きな人に褒めてもらえるのは、やっぱり嬉しい。

「ありがとう。
ちょっとイメチェンしてみたの。
五十嵐くんの好みかどうかは…分からないけど」

「そうか。
遥のその髪型、隼人の好みだと思うけどな。
よしっ！買い物行くか」

そうして、ヒロくんの車でスーパーに向かった。

「今日は何作るの？」
スーパーに入ってカゴを持つヒロくんに聞かれた。

「まだ決めてないけど…ヒロくんは何食べたい？」