彼が嘘をついた
美鈴先輩の秘密
私の初めてのお見合いは、驚きの連続だった。
そのお見合い相手が、現在お付き合いしている五十嵐隼人くんだったり、その隼人くんは3大デパートと言われている"五十嵐デパート"の御曹司だったり…。
はたまた、私は彼と5年前に会っていて、そのとき私は彼に一目惚れをされていたり、従兄弟同士だと思っていた隼人くんと真由子が、実は異母兄妹だったり…。
衝撃が大きくて、私の頭はショート寸前。美味しいはずの雅の中華も、あんまり味が分からない。だけどデザートの杏仁豆腐までしっかり食べたのは、この料理が美味しいと記憶していたからだろう。

「遥、大丈夫か？
そろそろ帰れるか？
俺がマンションまで送るから安心しろ」

杏仁豆腐を空にして、烏龍茶を飲んで落ち着いた私にヒロくんが声をかけた。
ヒロくんも、隼人くんも、もうすでに食べ終わっていた。

「……うん」
私は頷いて立ち上かった。
ヒロくんも立ち上がると私の手を取った。

「じゃあな隼人。
俺たち、先に行くから」

「あぁ、お疲れ様。また会社でな！」

ヒロくんは隼人くんと挨拶を交わすが、私はただ軽く頭を下げただけで隼人くんと目線すら合わせなかった。
そのままヒロくんの後について個室を出る。
背中に、隼人くんからの視線を感じながら…





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