彼が嘘をついた
「あぁ。ケトルにお湯沸かしているから。
楓恋と陽菜がシュークリームを買って来てくれたから、お湯が沸いたらティータイムにしよう」

美鈴先輩がそう言うと、すぐにケトルが鳴った。
私はティーポットにお湯を注ぎ、ティーカップにもお湯を入れて温める。
そして、お皿とフォークを準備すると、楓恋が隣に来てシュークリームを乗せて行く。
そのお皿を、陽菜ちゃんが運ぶ。
美鈴先輩は、テーブルの上を綺麗にしてくれた。
こうして、みんなでティータイムの準備をした。

「「いただきます」」
みんなで一斉にフォークを持った。
皮がパリパリで、中の生クリームとカスタードがほどよい甘さで、口の中で溶けていく。

「うーん。やっぱりここのシュークリームは美味しいですね」

陽菜ちゃんが満面の笑みで言うから、私は大きく頷いた。
先輩も、楓恋も、同じように頷いていた。

黙々と食べ続けて、紅茶もすべて飲み干した。
それから、3人の顔を順番に見て、最後の美鈴先輩を見つめたまま聞いた。
「…3人そろって突然来るなんて、なにかあったんですか?」って。

楓恋と陽菜ちゃんは顔を見合わせ、無言のまま。
美鈴先輩が私を見つめ返し、
「なにかあったのは遥の方じゃないの?
最近、元気がないし、五十嵐くんのことも避けてない?」
そう聞いて来た。




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