彼が嘘をついた
私の話を聞いてもらうのは、夕食後になった。
夕食は、楓恋と陽菜ちゃんが買ってきてくれた食材ですき焼き。

白菜·人参·シイタケ·ネギ·焼き豆腐·しらたきなどを切り、割り下を作り牛肉を鍋に入れる。切った野菜も入れて、火が通るまで煮る。
その間に、生卵を溶いて準備。
蓋を開けると、お肉や野菜がグツグツと煮えている。

「おいしそう、いただきまーす!」

美鈴先輩が箸を伸ばすと、私たちも、
「いただきます」と鍋に向かった。

「う~ん、おいしい!」
「やっぱりこれからの季節は鍋ですよね」
なんて言いながら箸が進み、たくさんあったお肉も野菜も残りわずかになった。

「はぁー、食べた!」
「はい、私もたくさん食べました!」
「でも、まだ入るよ」
「だよね。締めはうどんでいいですか?」
「わぁー。うどん好きです」
「じゃあ入れまーす」
そうして、締めのうどんまでしっかり食べた。

食べ終わった鍋や食器をキッチンに運び、流しの水につける。
テーブルを拭いて、食後のコーヒーを準備。
みんなに配り私も座ると、それまでの雰囲気と変わる。
話しを始める前なのに、空気が重くなる。

(どうしよう…)
怖じけづく私。
だけど、"聞いて欲しい"とお願いしたのは私だから、逃げないでちゃんと事実を話さなくちゃ!



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