彼が嘘をついた
「ちなみにね。楓恋も陽菜も、遥が社長令嬢だって気づいていたよ」

「えっ…?」

私は2人を見る。
2人は笑顔で私を見て、縦に首を振った。

「"社長の親族がいる"って話が出たときに、遥だと思ったの。
だって…。遥本人は意識してないと思うけど、時々、本当に時々だけど、令嬢らしさって言うのかなぁ…。言動に、そういう部分が見えるの」

「ウソッ…!」

「ホント!
でも、大丈夫だよ。たぶん、私たちしか気づいてないから…」

「……………」

「…何度もね、遥に聞こうと思ったの。でも、公表しない理由があるんだろうって聞けなかった。そしたら、美鈴先輩が教えてくれたの」

「そっか……」

「遥、まだ話があるよね?」

「…うん。
今日ね、お見合いだったの。もちろん、"四つ葉フーズ"の令嬢として…」

「うんうん。
それで、あんなに綺麗な大人っぽい格好をしていたんだね」

「…うん。
まぁ…、そうだね」

「相手は、どちらの方ですか?」

「"五十嵐デパート"の御曹司」

「…五十嵐デパート?」

「ホントに?スゴイ!」

「うん、本当だよ」

「で?何があったの?」

「うん…。
お見合いの相手は、隼人くんだったの」

「えっ?」

「…だから。
五十嵐隼人くんは、五十嵐デパートの御曹司だったの!」

私は大声で叫んでいた。






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