彼が嘘をついた
私が選んだ未来
私の叫びとは対照的に、先輩と楓恋は冷静だった。陽菜ちゃんだけが、ポカンと口を開いて驚いているみたいだ。
そんな様子に、
（もしかして…？）と感じた。

先輩と楓恋に尋ねた。
「あの…。隼人くんが五十嵐デパートの御曹司っつことも知ってたんですか？」

2人は頷いた。

「…晃と社長は、彼が入社する時から知っていたわよ。まぁ、経営者としては当然だけどね。
私は当時、晃から聞いて知っていたのよ」

「そうですか…。
…楓恋はどうして？」

「私？
私はね、偶然だけど、五十嵐くんと二宮くんが話しているのを聞いちゃったの…。
…2人にも、私が聞いていたことがバレてね。"遥には自分からちゃんと言うから内緒にしておいて"ってお願いされたの。2人のことだから、ちゃんと遥に伝えると思ったから黙ってたの。
…内緒にしていたこと、ごめんなさい」

楓恋はそう謝って頭を下げてきた。

「謝らないで楓恋。
楓恋は、何も悪いことしてないから」

私がそう言うと、楓恋は私を見つめてニッコリと微笑んだ。

「ねぇ遥」
先輩に呼ばれて、先輩を見た。

「今日、五十嵐くんから話を聞いたんだよね？
彼はなんて言ってたの？
話を聞いて、遥はどう思った？」

「……えっ？………」

「ゆっくりでいいから、遥の気持ちを教えて」

先輩に言われて、私は思い出しながら話を始めた。






< 187 / 198 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop