彼が嘘をついた
「俺と遥は従兄弟だけど、それでもやっぱり、真由子は面白くないみたいなんだ。
もしかしたら、隼人だっていい気分はしないと思う。
…だから。いつも作ってもらっているのに、勝手なことを言って、本当にゴメンだけど」

「…ん。分かった。
そうだよね…。
真由子と五十嵐くんのこと、考えてなかったね」

私は頷いて、食べた食器をキッチンに下げた。

「遥。紅茶を飲もう。ケーキ、買ってきたんだ」

「うん、分かった」

そして、ヒロくんが買ってきてくれたミルクレープを食べた。

それから、残ったカレーをタッパーに入れてヒロくんに渡した。

「ありがとう、ごちそうさま」
ヒロくんはそう言って、自分の部屋へと帰って行った。

…もう来週から、ヒロくんと一緒に夕食が食べられないんだ…
そう思うと、ちょっと淋しい。
今まで、ヒロくんに彼女がいても、こんな風に言ってきたことはなかったから。
それだけ、真由子に対しては本気だと言うことなんだろうか…





☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

翌日·月曜日。

いつもより早めに会社に向かう。
今日は夏の賞与の査定があり、各支店の支店長や工場長が本社に来る。
そのため、朝一で会議室をセットして、その後は受付の手伝い·お茶の準備をしなくちゃならないから忙しい。


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