彼が嘘をついた
私·佐久間遥（ｻｸﾏ ﾊﾙｶ）、23歳。

たった今、大好きな従兄弟のヒロくんと、親友·真由子との交際宣言を聞いて、失恋したばかり。

ヒロくんが初恋だった。
そのヒロくんも25歳。
もちろんそれまでもヒロくんに彼女がいたことはあるが、私の中にある"女の勘"が、真由子はそれまでの彼女たちとは違うと告げている。

そんなことを考えていると、
「…と言うわけで、
遥は今から俺の彼女な。
大好きな従兄弟と、親友の恋を邪魔したくないだろう」

五十嵐くんが私を見ながら言う。

呼び方が、"佐久間"から"遥"に変わってる。

そして、五十嵐くんは立ち上がり私の手を掴むと、
「俺たち、先に行くよ。
大樹と真由子は、ごゆっくり！」

そう言って、私の手を引いてファミレスを出た。

突然のことに、私はどうしていいか分からない。
そのまま、五十嵐くんに手を引かれファミレスを出た。

「とりあえず、俺たちのこれからについて話をしようか。
場所は…、俺の部屋か遥の部屋か…どっちがいい？」

五十嵐くんは、何でもないことのように、サラリと私に問いかけた。






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