彼が嘘をついた
急すぎる親族の集い
お弁当を食べて庶務課に戻ると、携帯にメールが来ている。
差出人は兄。

『夜、実家に集合!
久しぶりに、遥の和食が食べたい。
合計6人分よろしく。
一応、泊まれる準備してこいよ』

読み終わり、またため息が出るのは仕方のないことだと思う。

携帯をしまって、パソコンに向かった。
そしてすぐに、松竹弁当にメールをする。
FAXのお礼と、明日·明後日の数の変更。
それから、しばらくしてから松竹に電話を入れる。
これが、私が美鈴先輩から教えてもらったやり方。
電話だけだと、"言った言わない"で揉めるから、必ずメールで証拠を残す。
メールだけだと、相手が見ていない場合もあるから、電話で確認する。
何度も確認を重ねることが大切だと学んだ。

それ以外の仕事も、いつも通りにこなす。
パソコンに向かって集中していると、
「佐久間さん。
部長もいないんだし、ちょっと休憩しましょう」
秘書課の久保田課長がマドレーヌを片手に声をかけてくれた。
秘書課の皆さんによって、コーヒーも配られる。

「はぁ…」
何とも間抜けな声が出てしまったが仕方ない。
だって、秘書課の人たちとは、仕事以外では話をしない。
それなのに、課長自らのこの行動には、
"一体どうしたの…?"と不信感を抱くのは当然だと思う。


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