彼が嘘をついた
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「…とりあえず、乾杯でもするか」
ヒロくんたちとファミレスで分かれ、私と五十嵐くんがやって来たのはカラオケボックス。
五十嵐くんはジンジャーエール、私はアイスティーのグラスを持ち、カチンと合わせた。
「俺の部屋か遥の部屋か…どっちがいい?」と意味深なことを言った五十嵐くんだけど、すぐに
「恋愛初心者の遥に、部屋に2人きりはキツイだろうから、カラオケボックスにするか。
あそこなら2人きりでも、監視カメラがあるから安心だろう」
そう言って、駅近くのカラオケボックスに来た。
アイスティーを一口飲んだけど、歌なんか歌うどころじゃない。
「あの、五十嵐くん。
どうして私のこと、いきなり呼び捨てなの?
それに、"今から俺の彼女"って何?」
ここに連れて来られた意味も分からないし、ちょっとキツク問いかける。
ヒロくんと真由子のことでショックを受けているのに、おかしな展開に頭がついていかない。
「まぁ、そんなに慌てないで。
ちゃんと説明するから」
パニクる私と対称的に、五十嵐くんは落ちついている。
「まず、なんで呼び捨てかって。
そんなの簡単。
俺、彼女のことは呼び捨てで呼びたいの。その方が、"俺のもの"って感じがするだろう!」
「…なっ、なに言って…」
「俺、彼女にも名前で呼ばれたいから、遥も俺のこと"隼人"って名前で呼んでくれな」
何も反論できず、言い切られてしまった。