彼が嘘をついた
絶句する私に、五十嵐くん…もとい、隼人くんは続ける。

「"今から俺の彼女"も、言葉通りなんだけど。
今から遥が俺の彼女になるって意味。簡単だろう?」

「……………」

「……………」

「…私、いつ、五十嵐くんと付き合うって言った?」
冷静に考えて、当然の疑問を投げかけた。

「…ん?
俺が『佐久間は俺が守るから』って言って、それに対して大樹が『お前ならば、俺も安心して遥を任せられるよ』って答えたとき?
…だって遥、反対しなかっただろ?」

…何なの?その理屈

「…あのね、五十嵐くん」
言いかけた私に、
「…あのさ遥。
お互い、従兄弟と親友の幸せを考えようぜ」
五十嵐くんが静かに言った。

そう…
五十嵐くんと真由子も、従兄弟同士なのだ。

「…俺は、大樹と真由子が両想いなら、幸せになってほしい。大切な従姉妹と、親友だから。
大樹だから、真由子を頼めるって言うのもある。
そしてそれは、大樹からも言えること。
大樹にとって、遥は大切な従姉妹。だから俺に、託したいんじゃない?」

「……………」

「…真由子も、親友の遥が幸せな恋をすることを願ってる」

「……………」

「…とりあえずさ。
大樹と真由子を安心させるために、俺と付き合おうよ。
"仮"でいいから。
期間は…、とりあえず半年。
もちろん"仮"だから、遥に手は出さないよ」


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