彼が嘘をついた
「ごちそうさまでした」
ちょっと苦痛なランチタイムが終わり、会計を終えたヒロくんが店の外に出てくると、私はすぐにお礼を言った。
「手伝ってくれたお礼なんだから、気にしなくていいよ」
ヒロくんが言うと、私の隣にいた五十嵐くんも頷く。
真由子も、
「遥。
大樹と隼人がこう言ってくれているんだから、しっかり奢ってもらえばいいのよ」
そんなふうに言う。
…こういうところが、私の知ってる真由子とは違う。
4人で一度、真由子たちのマンションに戻ると、そのまま私と五十嵐くんは自分たちのマンションへ向かった。
「…どっか寄るところあり?」
そう聞いてくれた五十嵐くんに、
「あっ…、うん。
食材買いたいから、スーパーに寄ってもらえるかな?
近くなったら、道案内するから」
「…分かった。
俺も、スーパーの場所は知りたいからヨロシク」
五十嵐くんはそう言ってエンジンをかけた。
スーパーまでは15分ほどで着いた。
車を駐車場に停めて、2人で降りた。
そこで私は、夕食について提案した。
「ねぇ五十嵐くん。
今夜の引っ越し蕎麦、私が作っていい?」
「はっ……?
あっ……と、別にいいけど。
…お願い、していいの?」
「うん、任せて!」