彼が嘘をついた
「じゃあ、よろしく!」

「うん!
天麩羅も揚げようと思うけど、海老にマイタケに茄子にサツマイモにししとうに大葉。
…他にリクエストはある?」

「…いや。
そんだけあれば、充分すぎるよ。
あー。蕎麦や、天麩羅の材料の会計は俺がするから」

「分かった、ありがとう」

そう取り決めをして、2人でカートを押して買い物を始めた。

(…こうしていると、カップルに見えるのかな?)
そんなことを考えて、ちょっとドキドキしてる自分に気付く。

「海老、こんなに使わないよな?
でも、バラで売ってる物だと小さいし…」

海鮮のコーナーで、五十嵐くんがパックに14尾入った海老と、バラで売っている海老を見比べて悩んでいる。

「パックの方でいいよ。
明日、海老フライでも作っちゃうから」

「了解」

そんなやり取りをしながら、カートに物を入れて行く。

ヒロくんとも一緒に買い物をしたけど、欲しい物·目についたものをカートに入れるヒロくんとは違い、五十嵐くんは、1つ1つの食材をしっかり見て選んでいる。

「…ほかに、何か買いたい物ある?」

一通りスーパーを回って五十嵐くんが聞いてくる。

「うん、大丈夫だよ」

「じゃあ、レジに行くよ」

2人でレジに並んだ。



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