彼が嘘をついた
通話が終わると、すぐに車に戻ってきた。

「どうしたの?」
と聞く前に、

「"フライパン"、予約したから。
勝手に決めたけど…いいよな?」

「うん、ありがとう」

「いや…。
じゃあ、出発するよ」

そうして車をスタートさせた。

フライパンには、30分ほどで着いた。

ちゃんと席が予約してあり、入口で彼が名前を告げると、すぐに案内してくれた。
湖が見渡せる、窓側の席だ。

メニューを見てると、
「俺はポークソテーのセットにする」
と言われ、
「じゃあ私はハンバーグのセットで」と決めた。

店員を呼んで、私の分もオーダーしてもらう。
サラダ·スープ·メイン料理·ライスorパン·コーヒーor紅茶·デザートがついている。

改めて向かい合って食事をするとなると、やっぱり意識してしまう。
…今までだって、"仮"の彼女として2人で食事をしたことだってあったのに…。

そんな私の緊張が分かるのか、
「なぁ遥。
そんなに意識されると、俺までヘンに意識しちゃうからやめてくれ」
と言われてしまう。

その緊張をほぐすため、お手洗いへと行く。
鏡の前で、大きく深呼吸してみる。
…だけど落ち着かない。
考えてみたら、私は男性とお付き合いするのが初めてなんだ。



< 95 / 198 >

この作品をシェア

pagetop