彼が嘘をついた
「良かった…。
ちょっと上がってって」

そのまま、彼の部屋にお邪魔する。
そういえば、彼とヒロくんが部屋を交換してから、この部屋に上がるのは初めてだ。

リビングのソファーに座ると、彼が隣に座り、またキスされる。
一瞬だけ触れて離れた唇は、すぐに耳元までやってきて、
「…もう避けるなよ」と囁くと、また唇に戻り、ゆっくりと重なった。

そのまま何度も角度を変えながら、深くなっていくキス。
彼にされるがまま口を開くと、すぐに舌が侵入して咥内を動き回り、私の舌を絡めとる。

まだ人生で3回目なのに、彼が与えてくれる蕩けるようなキスに溺れてしまいそう…

そう思ったとき、彼の手が私の腰を撫でた。
ビクンと身体が跳ねる。

彼も気付いたのだろう。
ゆっくり唇を離し、そのまま距離をとる。

「…ごめん。
これ以上は…、まだ早過ぎるよな。
両思いが嬉しくて、がっついた…」

「…うん……」

「キス以上は…。
もちろん、したい気持ちはあるけど、…遥の気持ちを尊重するよ。
…初めて、だろう? 」

私はそっと頷いた。

「…ちゃんと遥のことが好きだし、ちゃんと大切にするから」

「うん…」

「…まぁ、でも。
俺も男だからな。あんまり長くは待てないかも知れない」

「なっ…!!!」


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