オトナチック
「これからずっとか?」

そう言った杉下くんに、
「そんな訳ないじゃない。

住むところを探しながらだけど、そうしようかなと思っただけよ」

私は言い返した。

「住むところを探しながらねえ…」

呟いた後、杉下くんを天井をあおいだ。

やっぱり、そうなるよね。

困るに決まってるよね。

天井を見あげている杉下くんから逃げるように、私はうつむいた。

私と杉下くんの間に、沈黙が流れる。

その沈黙を先に破ったのは、
「俺のところにくるか?」

杉下くんだった。

「えっ?」

顔をあげると、杉下くんと目があった。
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