オトナチック
着信履歴から新一の電話番号を全て削除すると、新一からきたメールも全て削除した。

それが終わると、私はスマートフォンをテーブルのうえに置いた。

そのとたん、グーッとお腹が鳴った。

ベッドのうえにあるデジタル時計に視線を向けると、時間は８時を過ぎていた。

「こんな時間だから、お腹が空くのは当たり前か…」

呟いた後で息を吐くと、財布を手に持った。

その日の夕飯は、ホテルの中にあるレストランで済ませた。

だけど、
「美味しくないな…」

久しぶりの１人での夕飯は、自分でも何を食べているのかよくわからなかった。

食事が美味しいと評判だったからこのホテルでの宿泊を選んだのに、何だか損をした気分だ。

杉下くんは、どうしているのだろう？

彼も私と同じように、１人で夕飯を食べているのだろう。
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