オトナチック
目の前の食事をもう食べることができないような気がして、私は椅子から腰をあげた。

会計を済ませると、私は部屋へと戻った。

スマートフォンを手に取ると、杉下くんからの着信がないかどうかの確認をした。

「――ある訳ないか…」

0件と表示された画面に、私は自嘲気味に笑った。

杉下くんから電話かメールがきていたら、それに出ようかと思っていた。

出て、自分が今いるホテルの場所を教えようかと思っていた。

「バカか、私は…」

自嘲気味に呟いた後、スマートフォンの電源を切った。

そのままスマートフォンを充電させた後、下着とバスタオルを手に持ってバスルームへと足を向かわせた。
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