オトナチック
突然のように響き渡った悲鳴に、何が起こったのかわからなかった。

オフィスに1人の女性が駆け込んだ瞬間、彼女の後を追うように誰かが入ってきた。

「――ッ…!?」

その顔を見た瞬間、私は恐怖のあまり声が出なくなった。

ウソ、でしょ…?

「芽衣子!

芽衣子はどこにいる!?」

新一はキョロキョロと首を動かしながら、私の名前を叫んでいる。

彼の手には刃物が握られていた。

「一体何があったって言うんだ!?」

駆け込んだ彼女に同僚の男が声をかけた。

「私もわからないんです…。

トイレに行こうとしたら、この人が突然刃物を振り回しながら追いかけてきて…」

彼女はそう説明した後、両手で顔を隠すようにおおった。
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