オトナチック
５・無口な彼の秘密
その日の夜。

テーブルのうえには、私が作ったねぎとかにかまの炒飯と杉下くんが作ったみそ汁が並べられていた。

炒飯はもちろん、杉下くんのリクエストだ。

みそ汁は私のリクエストだ。

「食べたい物のリクエストにみそ汁を頼まれたのは初めてだな」

テーブルのうえを見ながら杉下くんが言った。

「昨日、食事が美味しいって言うホテルで１人で夕飯を食べたの」

私は言った。

「結構いいところに泊まったんだな」

そう言い返した杉下くんに、
「会社の近くのホテルで検索をかけたら、そこがヒットしたの」

私は答えた。

「でも美味しくなかった。

マズいって言う訳じゃないの。

一言で言うなら、何を食べているのか自分でもよくわからなかったみたいな」

昨日ホテルのレストランで感じたことを杉下くんに話した。
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